ロゴマーク 2022/01/03 コラム

ミニトマトから学ぶ2022年の過ごし方【晩酌 #5】

ライター町田
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 年の瀬から断続的に降り続いた雪は、2022年の元日を白く染め上げた。

 車で実家に向かう道すがら。久しぶりに気持ちよく晴れた空のもと、白銀の乱反射に思わず目を細めてしまう。大晦日にあれだけ込み合っていた町は嘘のように静まり返り、朝から雪かきに勤しむ人々を横目に田舎道を走った。一年のスタートとしては申し分ないシチュエーションと言えよう。

 さて。実は昨年、ひっそりとミニトマト栽培に初挑戦していたのだが、今日の晩酌ではその話をしようと思う。

部屋とワイシャツとミニトマトとわたし

 ということは、昨年の振り返りのような記事になるわけで、それならそれで旧年中に書いておくべきだったんだろうなぁ…と今こうして執筆しながらリアルタイムに感じているところだ。まぁ、ね。

 さらには、このような形でわたしのミニトマト栽培をお伝えすることになろうとは露ほども思っていなかったため、成長過程の様子を画像に収めるという作業を全くしてこなかった。本来であれば自前の画像でご紹介すべき場面も、文章のみで、もしくは借り物の画像を用いての説明になってしまうということを先にご容赦いただきたい。

種蒔きは突然に

 本来なら3月~4月にするはずの種まきを6月の頭に行ったのは、これが計画的な栽培では無かったからだ。

 最後に植物を育てたのは小学校の宿題でのことだったろうか。

 これまで植物にはめっきり向かなかったわたしの興味は、ここ数年でゆっくりと、だが確実に育ち始めており、虎視眈々とそのチャンスを狙っていた。

 梅雨も間近に迫ったある日。長男が使っていた植木鉢がベランダで空いたまま放置されていることに気づく。冷蔵庫の野菜室にはいつも購入しているアンジェレトマトがある。…じゃあやってやろうか。そういう流れだ。

 生のアンジェレトマトを半分に切り、疑心暗鬼のまま軽く土に埋めてから数日。芽は意外にもあっさりと出た。さらに数日様子を見てから、一番元気そうな芽一本を残して後は抜き去ってしまう。後は大きく育つことを祈るのみ。

ミニトマトの芽
ミニトマトの芽(Photo-ac様より拝借)

一筋縄ではいかなかったミニトマト栽培

 トマトの原産国は乾燥地帯なんだそうな。なのであまり頻繁に水をあげてはいけないらしい。

 そんなことをネットでアレコレと下調べしながら育てること数ヶ月。8月にもなるとその背丈は数十センチに伸び、支柱で補助をしてやる必要が出てきた。…が、何事もなく順調に育っているとは言い難く、いくつかの問題に直面していたのも事実なのである。

育ち始めたミニトマト
育ち始めたミニトマト(Photo-ac様より拝借)

トマト斑点病(とまとはんてんびょう)

 ある日、根元に近い大きな葉っぱに茶色の斑点が出てきているのを発見。調べてみると「トマト斑点病(とまとはんてんびょう)」として紹介されている画像の様子にかなり近いような気がした。原因はカビだということでそのまま放置していると拡がってしまい、最後は枯れてしまうらしい。

 慌ててホームセンターに飛んでいき農薬を買ってきたわけだが、そこはそれ、植物初心者のわたしがすることだ。購入したのは家庭園芸用ではなく、原液を何百倍にも薄めた上で噴霧器を用い畑全体に振り撒くようなガチのやつだった。仕方が無いのでそのガチ原液を爪楊枝の先にチョイとつけ、茶色の斑点部分に直接塗布。土質の清潔も考慮して違う鉢への植え替えまで行った。

 それ以来、薬が効いたのか、気候のせいなのか、はたまた自然治癒なのか、結局斑点がそれ以上増えることは無かったが原因はよくわからないままだ。むしろ本当にトマト斑点病だったのかもよくわからん。

実が小さいままで赤くならない

 夏も盛りになった頃、わたしのアンジェレトマトも黄色く可愛い花を咲かせ、その花が枯れた後には予定通りに実を着けた。…が。その実が大きく育っていかないんだな。中ぐらいになると青いまま成長を止めてしまい、殆どの実はそのまま、赤くなることはなかったのである。

このぐらいで成長が止まってしまう(Photo-ac様より拝借)

 全体をあらためてよく見ると、ウェブで紹介されているものより茎が細いように見えた。栄養が足りなかったのだろうか。肥料も適宜やっていたつもりだが…わからん。頭にわからんの花が咲いてしまいそう。

今日の晩酌

 では、そろそろ呑もう。

今日の晩酌 お雑煮 なます
紅白の色使いがめでたい

 小さいながらも赤く熟し、最終的に食べることが出来たのは10粒も無かったような気がする。来年こそは…ぐぬぬ。

お雑煮

 なにしろ正月ですから。お雑煮を肴にするのもアリだろう。

 カツオと昆布のダシに鶏の旨味を効かせて。そのほか大根、ニンジン、三つ葉を具に、酒、みりん、しょう油で味を調えた。要するにわたしが作る料理としてはいつもの味付けだね。焼いた餅が汁でさらに温められ、まぁ~伸びる伸びる。今年もいいことが沢山ありますように。

なます

なます

 こちらは妻がお正月に合わせて漬けてくれたもの。やや生漬かりではあるが、逆にそれがフレッシュで旨かった。

晩酌のおともは「カラマーゾフの兄弟」

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」
ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」

 ドストエフスキー経験は「白痴」しかない私でも、数ページ読めばわかる「ドストエフスキー臭さ」がクセになる。理屈っぽい、ということとは違うし…常に説教をされているような展開?いや。会話劇で人となりを描写する手法…う~ん、旨く説明できないんだけど、とにかくドストエフスキー臭に満ち溢れている。

 まだ上巻を読み始めたところなので内容に言及することは出来ないが、このボリューム感からすると、遅読なわたしがしばらくコイツにつきっきりになるであろうことだけは間違いない。

恐るべき生命力に2022年の光明を見た

 短い秋が過ぎ、長い冬がやってきた。

 12月も半ばを過ぎると晴れた日でもその光は白く霞み、秋の時分にはまだ感じられていた麗らかな陽気はついぞ無くなってゆく。例によって青い実をいくつかぶら下げたままでいたアンジェレだったが、この気温の元ではもう赤くなることはあるまい。

 年の瀬も差し迫ったある日、大掃除のついでに捨ててしまおうと根を引き抜いてみてびっくりした。

土がごっそりと無くなった
土ごとごっそりと

 「根こそぎ」とはよく言ったもので、画像で示したように元々は赤線ラインまで土が入っていた。

 はちきれんばかりに植木鉢の中に充満していた根が、引き抜く際に土をごっそりと持っていってしまった恰好なのだ。こりゃあ狭い思いをさせてしまったねぇ…。茎が細かったのも、実が十分に育たなかったのも、植木鉢が狭すぎたせいなのかもしれない。あくまで「かもしれない」だが。次シーズンはもう一回り大きい鉢を用意してリベンジしよう。

 そして。

 中でも青く大きい実がなっていた一房を、枯れたら捨ててしまえばいいとばかりに枝葉ごと水を張ったコップに差しておいた。つまりは名残惜しかったんだよ。

 それからおよそ2週間後の様子がこれだ。

ミニトマトの枝葉
…?
ミニトマト
…!?

 恐ろしい生命力!

 全く枯れる素振りがないばかりか、なんなら実のうちの一つは赤く熟してきたのだから驚きじゃないか。そして、水を変えてやる時にその秘密を知ったのであった。

ミニトマトの根
…え?
ミニトマトの根
えぇ…

怖っ

 率直に言って怖い…!変なトコから根っこが生えてきちゃってますけど…??これ人間でいうと…いやだめだ、倫理的に問題のある表現しか出てこない。とにかくすげぇ。

 植物通の諸氏に言わせれば至極ありふれたことなのかもしれないが、植物ビギナーのわたしはこれを見て心底ビビった。夏の頃、枯らさないようアレコレ頑張ったのはなんだったんだろうか。こんな化物(いい意味で)普通に育ててたら枯れるわけないじゃないか。

 記事にするつもりのなかった事柄を今回記事にした理由も、実はこの画像を見ていただきたかったからに他ならない。
 


 なんだか…この様子を見ていると元気が湧いてこないだろうか?

 良い事、悪い事、今年も色々あるだろうが、瑞々しいトマトの様にすこやかな心と身体で、たとえ土から抜かれても伸びていこうとする想いを忘れず…まぁ…あれだ。シンプルに言えば楽しくやりたいなぁと。そんなことを感じている次第である。

 もちろん赤くなった実は端から頂いていく所存。ありがとうわたしのアンジェレよ。

 それではまた。

追記:トマトの葉っぱは有毒らしいので注意

 今回の記事に使う画像を撮っている最中、わたしのソウルメイトであるウサギさんが、チャンス!とばかりに葉っぱを所望しようと近づいてきた。

ミニトマトとウサギ
「食べたいな…」

もちろんダメです。

 ここまで頑張ってきたアンジェレの命を守るために速攻取り上げたわたしであったが、そのあと少し気になってトマトの葉をウサギにあげていいものか調べてみた。つまり…最後はオヤツにでもしてやろうかと考えたのである。自然の摂理よ。

 しかし、トマトの葉には「トマチン」とかいうまるでギャグみたいな名前の毒素が入っているそうで、迂闊に食するのは良くないらしい。ましてや我が家のウサギさんはもうすぐ11歳になるご老体。アンジェレの命を守ったつもりが、実はウサギさんの命を守っていたんだなぁこれが。危ない危ない。

 ウサギを飼っていらっしゃる方はお気をつけて。

 

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