プラモデルをきれいに作りたいけど、おうちの事情でエアブラシ・塗装ブースなどの装備を整えるのが難しく、ゆえに基本塗装が出来ない…という方、多いんじゃないかと思います。そもそもわたし自身がそんな環境でガンプラを作っている一人なので。
そんな時、一番困るのが「合わせ目消し」です。
塗装ができないのでパーツはキレイな状態にしておきたいのに、接着剤で貼り付けた部分がどうしても白く変色してしまう。
そこで今回は、プラモデル制作で使用する代表的な接着剤「樹脂系接着剤」と「流し込み接着剤」を使って、どちらの接着剤をどのように使うとより変色しにくいのか、検証してみることにしました。
ある程度の結果も出たので、よかったら最後まで読んでみてください。
↓わたくし町田が作ったガンプラも併せてどうぞ↓
樹脂系接着剤と流し込み接着剤 変色しにくいのはどっち?
実験には「樹脂系接着剤」「流し込み接着剤」どちらもタミヤの製品を使用します。
そして接着するのは、HG Gアルケインのランナー。
棒状のランナーと、ランナーのタグ?というのでしょうか、ランナー情報を書いた板状の部分をニッパーで切り出し、それぞれ樹脂系接着剤と流し込み接着剤で接着しました。
パーツの上部を黒く塗ってある方が、流し込み接着剤を使って接着した方です。
実はそれほど接着剤の違いによる差は無い?
おおよそ1週間程度しっかりと乾燥させ、接着面にやすり掛けを施したものが以下の画像です。
ランナーパーツ
丸で囲った部分が接着面です。
タグパーツ 樹脂系接着剤
パーツ中央、やすり掛けしてある部分が接着面です。
タグパーツ 流し込み接着剤
パーツ中央、やすり掛けしてある部分が接着面です。
思ったほど差が出ないなぁ、というのがこの時点での正直な感想。
ただよ~く見ると、樹脂系接着剤の方がやや変色しているみたい。
例えば「タグ(樹脂系接着剤)表」。接着面の左半分に薄っすら線が入っています。画像では非常にわかりにくいのですが、肉眼で見るとランナーパーツも樹脂系接着剤の方には僅かな線が見えていました。
そして、わたし的にそれよりも気になったのは、接着面が平らかどうかによる変色具合です。
タグパーツについては、上面の元から平らだった部分を接着したのですが、ランナーはニッパーで切り出した小口部分を接着したので、接着面が完全に平らではありませんでした。
そしてその「平らで無かった部分」が特に白化している印象なのです(これも画像ではわかりにくい…)。
以上を鑑みると、接着面が平面で無かった部分に圧の差ができた結果、しっかりと圧着した部分は変色せず、しなかった部分はプラの密度が希薄になりその結果変色したように思われます。
ここまでのまとめ
- 接着剤の種類による変色の違いはそれほど無い。
- 接着面は平面を保ち、圧が均等にかかるようにした方が良い。
接着剤の使用量が変色に関係している?
以上を踏まえ、どちらかというと変色が少なかった「流し込み接着剤」を使用し、圧が均等にかかるように注意しながらもう一度タグパーツを接着してみることにしました。
タグパーツの空いた部分には、なんとなく樹脂系接着剤と流し込み接着剤を塗布。ついでです。
先ほどと同様、一週間程度乾燥させてやすり掛けをしたものがコチラ。
どういうわけか一度目の実験よりもハッキリと変色している…。
空いた部分に塗布した結果については、樹脂系接着剤を塗布した箇所の方が明らかに変色しています。なぜだ。
それ以上に不思議なのは、圧が均等になるように意識しながら流し込み接着剤で接着したにもかかわらず、左半分だけが変色してしまっていること。
しかも変色の程度は、空いた部分に塗布した樹脂系接着剤部分と同レベル。
乾燥前の画像と見比べて頂ければわかりますが、決してこの部分だけはみ出しているわけじゃないんだよなぁ。
わたしなりに頭をひねってみた結果、要因は接着剤の使用量にあるのでは?という疑いが出てきました。
どちらの接着剤も、たくさん塗布すれば変色する
となれば再度実験!
向かって右へ行くほど多く塗布しています。
北半球が流し込み、南半球「通常」表記が樹脂系。樹脂系は粘度が高いため、流し込み接着剤に比べて結果的にたっぷり目の塗布量になりました。
以後、そのつもりでご覧ください。
先ほどまでの実験と同様、一週間程度乾かして、やすり掛けをする前のものがこちら。
各部、差異はあれど変色していますね。
【※樹脂系接着剤の一番右(一番多く塗布した箇所)は表面の樹脂が先に乾燥してラップした形になってしまい、中の接着剤が乾燥しきれなかったようです。実験結果からは除外します。】
このパーツにやすり掛けをしたものがこちら。
どちらの種類の接着剤においても、多く塗布した箇所ほど変色していますね。
全体的に流し込み接着剤の方が変色していないように見えますが、違う面から見れば、流し込み接着剤でも多く塗布した箇所は樹脂系接着剤と同様に変色しているとも言えるわけで。
前述の通り、樹脂系接着剤は粘度が高く自然に塗布量が多くなってしまうので、ここまでの差異については接着剤の種類というより量によるものが大きかったのかもしれません。
ここまでのまとめ
- どちらの接着剤も多く塗布すれば変色する
- 粘度のある樹脂系接着剤はどうしても塗布量が多くなるため変色しやすい
合わせ目が変色しにくい接着方法【今回の結論】
以上を踏まえて、「無塗装派」のアナタに送る、合わせ目が変色しにくい接着方法はこちら!
合わせ目が変色しにくい接着方法
- 接着面を平らに慣らして均等に圧がかかるように注意する
- 流し込み接着剤をごく少量塗布して接着する
具体的には、接着面にゆがみがある場合は平らにならし、流し込み接着剤をごく少量塗布し、均等に圧がかかるように意識して接着する。
合わせ目消しの定番である「ムニュ接着」に比べて面は整わないかもしれませんが、変色するリスクは軽減されるはず。難しい所ですね。
こちらの記事も併せてトップコートで合わせ目の変色を防ぐ実験
実際にこの接着方法を用いてパーツを接着してみました。
円で示した部分が合わせ目消しを行った箇所です。
比較として、同色のパーツをムニュ接着した場合の画像も併せてご覧ください。
完全に消えるわけではないものの、ムニュ接着よりも変色が目立たないのがお分かりかと思います。
ただ、パーツの色や素材によってもまた違う結果が出るだろうし、その時の気候なども影響するだろうし、なにより接着したわたしの手クセみたいなものもあるし、あくまで一例として捉えていただけたら幸いです。
とりあえず今回の実験では、この方法でより合わせ目を目立たなくすることに成功しました。
この上からさらに缶スプレーのトップコートなどを吹くと、より合わせ目を目立たなくすることができますよ。
「無塗装派」の方はぜひ、お試しあれ。
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ガンプラ初心者の作例まとめ【エアブラシ不使用】