合わせ目が変色しにくい接着剤を比較実験して以来、もうすぐ一年が経とうとしています。
参考ページ【無塗装派】合わせ目消しで変色しにくい接着剤&接着方法を検証
あれから何体かのガンプラを制作する中で、このことについては常に意識して観察してきました。そして最近、合わせ目を消したあと放置してあったものほど変色が激しいことに気がついたのです。逆にさっさとトップコート⇒ウェザリングと進めたものは変色が少なかった。何か秘密がありそうですよね。
↓ガンプラ制作記事まとめ↓
トップコートをすることで合わせ目の変色を防ぐことができるのか
わたしの仮説は以下の通り。
【完全乾燥する前、まだ接着剤が反応している段階で、空気に触れている時間が長ければ長いほど変色してしまうのでは?】
仮説の通りならトップコートで空気に触れない状態を作り、その中で接着反応を終えていくことによって変色を軽減することが出来るハズ。さっそく実験してみましょう
トップコートをした部分としていない部分で変色度合いに差があるのか検証
実験に使用するのは背部のバックパックです。
前段として、この2つをそれぞれ流し込み接着剤と樹脂系接着剤(いずれもタミヤ製品)で接着し、合わせ目を消しておきます。
この上からトップコート(今回はつや消しを採用)を吹いたら準備完了。トップコートされている部分とされていない部分、期間は30日間として、変色していく経過を観察してみようというわけです。
実験初日
全ての基本となる、初日の様子がこちら。
本体への接続ピンがある方がマスキングをした面です(以後トップコートをしていない面を「マスキング面」、してある面を「トップコート面」と呼びます)。薄っすらと見える合わせ目は白化というよりは黒い線のようであり、この時点での顕著な変色は見られません。
4日目
変色の兆候が見られたのは4日目のことでした。
白蓋・緑蓋、どちらのマスキング面も変色してきましたが、どういうわけか緑蓋の方が変色度合が強いという。いずれにしろ「マスキング面の方が先に変色し始めた」という事実は仮説に沿っているように思えます。
10日目
10日目にはなかなか面白い変化が現れましたよ。
一目でわかる程度に変色が進んだマスキング面。並行して、トップコート面も少しずつ白化が始まってきました。そして特筆すべきは緑蓋の上面です。
4日目からその兆候は表れていたものの、10日目を迎えて完全に白化しました。トップコート前面にはここまでの変色が見られないことを鑑みると、マスキング面の側から変色が侵食してきたものと思われます。やはり「空気」と「乾燥」が大きく関わっていそうですね。
25日目
この頃になるとトップコート面の合わせ目も、ぱっと見で分かるぐらいには変色しました。
緑蓋と白蓋の変色の差がほぼなくなりつつあります。緑蓋と同じく、白蓋の上面も変色しているのがお分かりでしょうか。
30日目
検証最終日となる30日目。
前面にも白い線がハッキリと見えていますね。そして終わってみればやっぱり白蓋の方がより悪くなったという。画像では微妙な差異ですが、肉眼で見た印象は明らかです。接着剤による違いについては関わる要素が多すぎて、本気でパターン分けしないと真実が分からなそう。
結論:乾燥までに空気と触れている時間が長ければ長いほど変色する
最終的には全体的に変色したものの、その経過や程度を踏まえればトップコートをしてある部分の方が変色しにくかったのは明らか。どう見てもマスキング面の状態の方が酷いですよね。そして、例えば「トップコートに含まれる何かしらの薬液が影響している」ようなことであれば、10日目の時点でマスキング側から侵食されるように上面が白化し始めたのは不自然です。
そうすると…正直他にも考慮するべき色んな要素があるんだけど…記事として単純に結果を出すなら、やはり「乾燥までに空気と触れている時間」が少なくとも影響しているのは間違いないんじゃないかな~って。
一応接着剤の比較記事との整合性も取れます。
流し込み接着剤に比べて白蓋は乾燥時間が長いので、そのぶん空気に触れている時間が長くて変色しやすい。接着剤を多量に塗布した場合も同様です。量が多くて乾きにくい分、乾くまでに空気に触れている時間が長くなって変色してしまう。みたいな。
合わせ目にはすぐトップコートをしよう【無塗装派向け】
でもトップコートをすると空気には触れにくくなる反面、乾燥にかかる時間は増えてしまうわけですよね。そうするとプラマイゼロ?むむむ…。
とにかく!誤解を恐れずにわたしの場合をお伝えするなら、合わせ目消しをした箇所に時間をおかずトップコートをすることで、今までよりずっと変色しにくくなったのは事実です。
我が家の環境ではそもそも缶スプレーをするにも準備が必要なので、合わせ目消しをしてから次の段階までに時間が欲しいような場合は、ビンのトップコートをサッと筆塗りしておくようにしています。これだけのことで変色するリスクが大激減!
その代わり次の件に進む前にはしっかりトップコートを除去しておかないと、妙な段差が出来てしまうので注意が必要です。ラッカーシンナーで落としてもよし。やすりで削り落としてもよし。方法はどうあれ忘れないようにしましょう。
こんなことにアレコレ苦心しなくても塗ってしまえばいいじゃない…という意見もおありでしょうが、わたしのように「環境的にエアブラシが使えない!」という無塗装派の方は、ぜひ一度お試し頂きたいと思います。実際には制作環境、パーツの成型色、使っている接着剤の種類など、その他さまざまな要因が関わってくる問題だと思いますので、万人に効果があるのかは正直わかりません。
まぁ、おまじないみたいなもんだと思っていただければ。
追記:1年前に作ったシャアザクの合わせ目をチェックしてみた
30日後にはトップコート面も変色してしまったことから「遅かれ早かれ変色しちゃうんじゃ結局一緒じゃない…」と、お嘆きのアナタ。約一年前にわたしが始めて本格的(?)に制作したガンプラをごらんください。
参考ページMS-06S「シャア専用ザク」HG 完成【ウェザリング初挑戦 Part5 END】
このシャアザクは初作だったこともあり、合わせ目を消してから間髪入れずにトップコートをしました。ウォッシングもしていることを踏まえると、その上からさらにエナメルでコーティングされている、と考えることもできます。
どのパーツも薄っすらと変色してはいますが…1年経ってこの程度なら、ねぇ。バックパックの方は結局マスキングをすることで全体がコーティングされていないわけですから、それが白化の程度に影響したのでしょう。
色々実験してきて思うのですが、無塗装で合わせ目をキレイに消すのは容易な事ではありません。どうやら思っていたよりずっとたくさんの要因が絡んでいるようで、日によって違う結果になるなんてことはザラ。無塗装で作る以上「ある程度の合わせ目が出ることを踏まえた上で制作する」という心構えが一番大事なのかな~…なんて最近では思っています。
以上、「トップコートで合わせ目の変色を防ぐ実験」のご紹介でした。
↓ガンプラ制作記事まとめ↓
ガンプラ初心者の作例まとめ【エアブラシ不使用】