ある日のお昼。朝からずっと曇天模様だったせいか、ご飯を用意するのがどうにも面倒になってしまい、近所の総菜屋で丼物を買って食べることに。妻は海鮮丼を選び、わたしはマグロ丼(鉄火丼)にした。
上の画像はphoto-ac様の無料素材だが、実際にこの時食べた丼とかなりイメージが近い。お茶碗大盛り一杯ぐらいのお米にマグロが6きれだったかな?で、600円也。決して値段に文句は無い。面倒に感じていた昼飯の手間が省けたし、味もなかなかだった。
…ただ。
これって簡単に作れるのでは?とか思っちゃたりして。
マグロ丼(鉄火丼)を手作りしたい
というわけで今回は、マグロ丼を手作りすべく試行錯誤した模様をご紹介しようと思う。文末には美味しく作るポイントなども書いてみたので、興味のある方はぜひ最後まで読んでみて欲しい。
要するにご飯に刺身を乗せればいいんでしょ?
早速、一杯500円程度という予算で材料を調達してきた。
マグロのたたきが400円でメバチマグロの柵が600円。本来なら柵のみで勝負するのが筋だと思いつつ、ネギトロも食べたいなぁという欲望に素直に従ったのであった。だって食べたくなっちゃったんだからね!
そしてたたき台が無いことには工夫のしようもないので、ひとまずは材料をただただ白米に乗せていくことに。
あら?これってもうコレでいいんじゃ?普通に旨そうなんだが?
購入した材料費500円に、白米やネギ代も加えれば大体600円にいかないぐらいの経費だろうか。まぁ当然と言えば当然だが、先日食べた総菜屋の丼物より豪華な内容になった。やはり余裕があれば手作りした方がお得ね。
…ところが。
食べてみると何かが物足りない。
もちろん普通に食べられるのだが、何か思っていたのと違う印象がある。次回の修正に備えて、その違和感の正体を突き止めてみた。
【問題1】白米とマグロが分離している
最初にして一番の問題がこれだ。
米とマグロを別々に味わっているかの如く存在が分離してしまっており、一体感が無い。ガツガツとかきこむドンブリならば一体感は必須よね。ちなみにこれから列挙する他の点は全て、何らかの形でこの問題に帰結している。
【問題2】マグロが味気無い
こうしてマグロを白米に乗せてみるとどうにも味気無く感じるのはなぜなんだろう。まぁ、海の無い長野市のスーパーに売っているマグロならそれなりだというのはわかるのだが、お刺身として食べる時はそれほど気にならないのにねぇ。丼だと思って食べると圧倒的に味が足りない。
米も、マグロも、味気がないから分離して感じるんだろうなぁたぶん。
【問題3】マグロが厚い
当たり前のようにお刺身として食べるぐらいの厚さで切り揃えてしまったマグロ。それなりの旨味があればこれでも良かったのだろうが、前述のように味気がないためその厚みが邪魔になっている。
なんていうか…白米と一緒に口に放り込んだ時に、その身が厚ければ厚いほど「味気の無い物が口腔内を占有する体積」が増えることになり、結果として「あんまり美味しくない」という印象に直結してしまう。これもマグロの良し悪し次第なんだろうけど。
【問題4】白米が白米だ
なんかもう禅問答のようになってしまっているが、今まで書いてきたような種々のマターと絡み合った結果、白米が白米である(要するに酢飯でない)こともネックになってしまっている。
仮にマグロ自体が旨ければ白米が白米でも丼として成立するのだろう。だがマグロに味気が無かった場合、白米が白米のままだともう…どうしようもなく弱い。弱い白米に弱いマグロが乗ってしまってもうコレは悲しくなるぐらいに弱い。この薄弱としたボンヤリ感も一体感の無さに一役買っているに違いない。
以上。
次はこれらの問題をクリアする形でもう一杯作ってみようと思う。
なお、上に挙げた問題点は全てマグロ柵に関することであり、ネギトロ部分は一切関係ないことを強く申し上げておきたい。だってネギトロ部分は普通に旨かったんだから。ある意味でネギトロの優秀さを痛感した瞬間だった。
以上を踏まえてもう一度作ってみる
数日後、再びマグロ丼を食べたくなったタイミングで試作を再開した。材料の画像は無いが構成は前回と一緒+大葉で、全体の金額としては更にお安い800円。一人400円っちゅうことだな。
マグロを軽くヅケにしてみる
さて。前回の問題を一挙にクリアすべく、味気の無いマグロをどうにかしてやろうと思う。つまり薄く切ってヅケにするのだ。
とはいえわたしはヅケ丼を作りたいわけでは無く、やりたいことはあくまで「マグロのブースト」。なので漬けダレは薄めの配合とし(調味料の比は後述する)、漬け時間も10分という短時間に設定した。
ご飯は酢飯で
マグロに味が入ったことで、回りまわって全ての問題が解決しそうな気がするのだが、念のため「白米が白米」問題もクリアしておこう。
手巻き寿司を作る時用に常備しているすし酢を使った。コイツで酢飯を作った上で、具材たちを並べていく。
さて、お味は如何に。
美味しいマグロ丼(鉄火丼)の作り方
しょう油を一回ししてから一口頬張ると、軽く下味のついたマグロと酢飯が口の中でバランスよく混ざり合う。優等生のネギトロももちろん大活躍だ。これは実に申し分ない味…いや、謙遜せず正直に書こう、めっっっちゃ美味しくできた。
「今日はマグロ丼が食べたいなぁ」とボンヤリ考えた時にイメージした味のまさにそのまま、いやさらに少し上を行くぐらいの旨さ。非常に主観的で申し訳ないが、そりゃあ海産物に強い地域にお住いの方が同様にイメージした味には遠く及ばないわけで、こんなもんで勘弁して欲しい。
それでは、以下の2点が作る際のポイントである。
【ポイント1】マグロは薄めに切って軽く漬けるべし
完全に魚の質によった話にはなってしまうが、「スーパーで普通に買える程度のマグロ」であれば薄く切った方が米に馴染む。そして軽く漬けることで味をブーストしておこう。
タレに使用する調味料の比は、かなり薄めの【お酒5:みりん3:しょう油:1】程度を基本に、味を見ながらお好みで。酒とみりんは煮切ってアルコールを飛ばしたあと十分に冷ましてから使用する。10分も漬ければOK!
【ポイント2】ご飯は酢飯にすべし
やや手間ではあるがやはり酢飯を用意した方が食べ応えがある。ネタにも間違いなく馴染む。お好みではあるが、ビンに記載されている分量よりやや多めに酢を使うのがおススメだ。
以上、あとはお好きな量を用意してかきこむだけ。ぜひお試しあれ。
【おまけ】さらに安く作りたい
更にお安いビンナガを使って、同様の方法で作ってみた。税込み330円(一人分165円)なり。
血栓が目立つ粗悪品(言い過ぎか)ではあるが意外と美味しく出来た。毎日のお昼にちょっと彩を加える程度なら十分なレベル。ただ、食べ終わりの方ではマグロの風味が恋しくなったのもまた事実…。