もはや「のんびり曲」ではないので、シリーズ最後にして「のんびりポジティブ曲」と表記を改めました。
このシリーズの記事
- 「のんびり曲」を気持ちのまま作曲した結果
- アレンジ(編曲)で曲の形を作る
- 【この記事】のんびりポジティブ曲 ミキシングを経て完成
アレンジは終了しましたが、今回「ミキシング」という名のほとんど謎めいた工程を経て真の完成ということになります。ぜひ聴いてみてください。
のんびり曲を気の向くまま作ったらこんな曲になりました
「ぼーっと川を下っていたらうっかり大海原に漕ぎ出してしまっていた」という、#1記事での失敗をイメージしてチョイスしたアイキャッチ画像。
しかしシリーズを通して同じ画像を採用したことで、この曲はわたしの中で漁師のテーマのようなイメージになっている。もちろん違いますが。
♪のんびりポジティブ曲 完成
この完成音源は先述の通りミキシングしたものです。何がどう変わったかわかりますでしょうか。
謎の工程「ミキシング」とは
一言で表すなら「仕上がった曲をさらにきれいに磨く作業」といったところ。
ゆえに曲調や雰囲気がガラッと変わってしまうようなことはありません。…いや、プロの凄テクならいい意味でガラッと変わるのかもしれませんが、わたしがやってもそうはならないってこと。
以下、どんな処理をしているのか少し突っ込んで書いてみようと思います。まぁほとんど余談みたいなものなので、興味の無い方はスルーしてくださいね。
ボリュームとパンの再調整
「パン」とは音の定位(音が出てくる位置)のことです。どちらも編曲の時点で調整はしていますが、よりベストな状態になるよう再調整します。
各楽器のイコライジング
非常に説明が難しく、かつミキシングでは結構大事な作業がこれ。ザックリ言って「各楽器の音を削り合わせていく作業」みたいな感じ?
バンドの楽器をパズルのピースだと思ってくださいよ。
ドラム・ベース・ギター・ボーカル・キーボード、各5ピースの形が全部丸だったとすると、そのままでは絶対に組み合わさらないでしょ。片一方が丸なら、受け止めるほうはその分くりぬかれていなければいけません。そしてパズルなら外枠があり、全体としてそこからはみ出さないよう調節する必要もあります。つまりそれぞれ複雑な形のピース同士が、ちゃんと組み合わさった上で大枠からはみ出さないようにうまく形作る作業…というか…我ながら意味わかんねぇな。
ピアノを例に取ると、低音域はベースと被るからしっかりカットして、他の楽器と被りやすい中音域の特にモタついているところもカットして、代わりにアクセントになるような高音域をブーストしてみたり。そうするとベースは逆に低音域を活かしつつ、高音域はバッサリ落としてみたりとか。
まぁ
そんな感じ。
音量のばらつきを揃える
ピアノを優しく弾けば音量は小さくなる。逆に盛り上がって力強く弾けば、大きくなる。このようなダイナミクスは曲調によって良し悪しがあります。とりわけデジタルな曲調においては、チグハグに浮いて聞こえてしまうパターンが多いのではないでしょうか。
なので、必要がある場合は適宜「コンプレッサー」というエフェクターを用いて演奏のダイナミクスを均しておきます。
空間の雰囲気を調節
空間の残響音をシミュレートする「リバーブ」というエフェクターを使って、各楽器が鳴っている空間を調節します。
例えば「この曲は大ホールの演奏だぜ!」と意気込んで全体にドバッとかけてしまうと、主旋律など目立たせたい音まで残響の中に埋もれてしまうんですよね。なので主旋律の空間はバッキングよりも狭く設定してみたり、逆にベルの音は遠くで響くように空間を広くしてみたり、そんな調節をするわけです。
その他の味付け
ミキシング中に曲を何度も聴き直していると「ここはもっとこうしたい、ああしたい」という欲が出てくるもの。基本的な構造を作り変えることこそしませんが、それでも手持ちのエフェクターを使ってごちゃごちゃと弄っちゃうんですよねぇ…これがまた。
これらの作業は縦割りで存在しているわけではなく、全てが横のラインで繋がっています。イコライジングをすれば音量も変わるし、コンプレッサーで音を圧縮するかどうかはイコライジングの具合にも関わります。
常に全体のバランスをチェックしながら-上に挙げたものはミキシング作業の一例にすぎませんが-それら全ての工程を総合的に進めていく作業がミキシングなのです。
なんとなくイメージが伝わりましたでしょうか。
動画のBGMに登場したら思い出して欲しい
恐らくほとんどの方は、
それが何なの。
とお思いのことでしょう。「い~ぃんです!(ジエイ」 だってわたし自身も「だから何なの…?」という気持ちでミキシングを進めているんだからね!だからいつまで経っても上手くならないんだろうな。
以下に比較用の音源を掲載しますが、音量に注意してください。ミキシング作業を経た後の音源は結果的に音圧が上がっていますので、音量を40%ぐらいまで下げた状態で聞き比べていただくとちょうどいいでしょう。
♪編曲終了直後の音源【比較用】
♪ミキシング後【音量下げてね】
編曲直後の音源は何となく野暮ったい感じがしませんか?比べてミキシング後は、音がスッキリとしてCDっぽくなったというか。要するにこんなことなんです。ご苦労さん。
さて。できたからにはぜひ!ゲーム動画のBGMとして使っていきたいじゃないか。
参考:町田のStardew Valleyプレイ動画(この動画にはまだ使っていません)
どんなシーンに使ったらカッコよくハマるのかなぁ…なんてワクワクしてきちゃったりして。もちろん繰り返しにも対応OK。
♪繰り返すとこうなる
タイミングは未定としても必ずどこかで使いますので、登場した際には「ミキシングが何とかごにょごにょ書いていた記事の曲だな」とでも思い出してもらえたら感無量です。
というわけで、動画の方もお楽しみに!
それでは。
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