何の前触れもなく、ある日突然に洗濯機が壊れてしまった。
注水、すすぎ、排水、そして再び注水…と段階を踏んでいく途中、あるタイミングで必ずエラーが起きて止まってしまうのである。日を変えながら10回以上は試しただろうか、結局一度も最後の「脱水」まで辿りつくことはできなかった。妻が結婚前に購入したもの（実に14年前！）をそのまま使用していたので、ついに来る時が来た、ということなのであろう。今までどうもオツカレサマデシタ。
さて。故障している間は連日コインランドリーで用を足していたのだが、そう何日も続いてもらっては困る。というわけで、さっさと洗濯機を新調することにした。
中国メーカー「Hisense（ハイセンス）洗濯機 HW-DG80A」の実力は如何に
洗濯ということについて全くこだわりをもっていない我々夫婦が、新調に向けて設定した条件は以下の通りである。
- 容量は7.5kg以上
- 以前と同じスペースに収まるサイズであること
- 乾燥機能は無くてもよい
- 近日中に使用開始出来ること
下調べしてみたところ、１人分の洗濯物量を１日1.5kgとして計算するのが基本らしく、5人家族のわが家では最低7.5kg以上の容量が必要だということになる。今まで使っていたものが5kgなので容量は増加することになるが、洗濯機を置くスペースにはそれほど余裕はないため、以前の物より大きすぎるサイズでは困る。顧みて「乾燥機が無くて困った記憶がない」ということは、乾燥機能は不要であるということだ。そして当然できるだけ早く使い出したい。以上、シンプルでしょ。
要するに普通に使えりゃあいいのよ。最近の商品であれば、どんな機種であっても普通に使用できないということはないだろう、ということで早速Amazonを捜索し、候補に挙がったのがコイツだ。
候補に挙がった洗濯機ハイセンス全自動洗濯機 8kg ホワイト/ブラウン HW-DG80A ガラスドア 省エネ静音
中国メーカーであることと、「ハイセンス」という自意識高めの名前がやや不安を誘うが…そのプライスは何と！国産メーカーの同ランク帯商品と比較しておよそ半額なのだから驚きで…いや、余計に怪しいなコレ。
そんなわけで恐々と口コミを覗いてみたのであった。
何を信じていいのかわからないこんな世の中じゃポイズン
それでは、わかりやすく星５の口コミと星１の口コミを比較してみようじゃないか。尚そのまま抜粋しても冗長になるので、わたしの大胆な超意訳にてお送りする。
【星５】悪い点は洗剤の投入口がチープな所と、自分流のコース記憶のやり方がわかりずらいところなど。良い点は非常に静か！脱水はやや弱いが、その分長めの時間に設定してやれば以前の物より上！風乾燥機能も良い！
【星１】洗濯機が動くほどの振動で棚の物が落ちてくる。音も超絶うるさい。脱水はうまく出来ておらず絞ると水が出てくる。また、洗濯物が少ないと正常に動作しない。控えめに言ってクソです二度と買いません。
…は？
【星５】インバーター搭載で静かさが別次元。洗剤投入口も洗剤や柔軟剤がひとまとめになっており、使いやすいです。比較検討した某社の同価格帯商品ではインバーターが装備されておらず、絶対こちらがおススメです。ヤマトの人がものすごく丁寧に設置してくれてこれもまた大満足！
【星１】設置業者２人がなぜかケンカをしながら設置。「一度お客様が触ったらもうこちらでは責任取れません」と、繰り返し言われる。そして洗うたびにホコリのようなものが付着して汚れる。１か月たたずに脱水時キュルキュルと音が出る。控えめに言ってクソです二度と買いません。
…えぇ？？
お前らは違う世界線にでも住んでいるのかよ。
Hisense（ハイセンス）HW-DG80Aについて
…いや、知ってたけどね。
Amazonに掲載されているどの商品についても、その口コミ欄は似たり寄ったりの状態になってしまっているのは皆さんもご存じの通りだ。玉石混交とはよく言ったものだが…パラレルワールドに住む両者の意見をどう比較しろっていうのよ。混交する要素が一つもねぇよ。
とまぁ、その辺りの見解は後ほど書くとして。
わたしは結局この自意識高めでハイセンスな洗濯機を購入した。そして当記事をご覧になってくださっている方々の中には純粋に「Hisense（ハイセンス）HW-DG80A」という機種について、ちゃんと使えるのかどうかを知りたいだけだという方もおられるであろう。なのでもったいぶらずに先に書いておくことにする。
結論から言うと、「わたしの家に来た個体に限って言えば」使える。申し分なく使える。
設置した床の塩梅によってはキュルキュルと擦れたような異音が生じる場合があるが、調節脚を操作して安定させてやればあら不思議、洗濯機が置いてある脱衣所の扉を閉めたら動作していることもわからなくなるぐらいに静かになる。「静かになる」ということはすなわち、棚から物が落ちるほどの振動も無い。脱水は確かに若干の甘さはあろうかというところだが、絞るほど水分が残ることなどありえない。お天道様の様子を見ながら、ご機嫌斜めのようなら風乾燥を追加してやれば良いだけの話だ。
ただし！先に書いた通り、これは私の家に来た個体に限った話であるということはお含みおきを。口コミによると「電子回線の接続不良」などという根っからの不良品もあるようで、当然のことながらこの１台しか購入していないわたしとしては、この商品全体についてどうこう言うことは出来ない。
今日の晩酌
では、そろそろ呑もう。
口コミってそもそも、その商品なりサービスなりを購入しようとした場合、買うべきか買わざるべきかを決める良き判断材料として気持ちの後押しをしてくれるべきもののハズなのに、この体たらくはどうだろう。逆に迷わされてしまっている。
一度購入を決めた上で「それでも一応…」と迂闊にも口コミを覗いてしまい、例によって次元を超えた意見が飛び交うカオスに翻弄された結果、結局は購入を再検討する羽目になってしまった…というような経験をお持ちの方は多いことと思う。なんだかなぁ。
牛すじの煮込み
一段と冷えてきた昨今ではこんな肴がありがたい。
灰汁が強い牛すじ肉はまず茹でこぼし、それから生姜、長ネギの青い部分と一緒に１時間煮る。火を止めて手で触れるぐらいになったら食べやすい大きさに切り分け、他の具と一緒に昆布出汁、しょう油、酒、砂糖、みりんで味付けした汁で１時間半～２時間程度煮て出来上がり。
思い切ってしょう油をたっぷりと使うとそれらしくなる。本当はもっと黒くなるぐらい入れてもいいのだが…なかなか勇気がいるものだ。牛すじはトロトロ、そしてその上品な旨味と香りがバタ練り製法で作られたこんにゃくにもよく染みていて、実に旨い。
晩酌のおともは「南方郵便機」
夜間飛行に比べて人間的なシーンが多い今作。こちらは処女作ということで順序としては夜間飛行より先の作品だが、サン・テグジュペリの人となりがより透けて見えるように思った。もっとシンプルに言うならば、わたしはリヴィエールよりベルニスの方が好きだ、ということになろうか。
それにしても サン・テグジュペリの作品はお酒に合う。
心の機微を表す一つ一つの表現は非常に繊細かつ抽象的だが、その段を味わうようにゆっくり反芻しているとやがて、それがまさに感情の本質をついた表現であることに気が付きハッとさせられる。一節読んでは本を置き、チビリとやりながら読み応えを愉しむ。そしてまた一節。とても贅沢な時間だ。
それにしても、いわゆる「賢者タイム」が、さも美しい描写で書き上げられていたのには笑った。よかったらぜひ読んでみて欲しい。
君、めくるめく口コミの世界に惑わされること無かれ。
とはいえ口コミこそがユーザーの使用感に一番近い情報源であることは明らかだ。何かの購入に迷っているのならば参考にしない手はない。そこで、不肖なわたくしから1つアドバイスを差し上げたいと思う。
Amazonにて星１～５までの意見が比較的バランスよく分布している場合は、星１と星５の口コミは参考にしない方が良い。Amazon以外に当てはめるとすれば「極端な意見は無視しろ」ということになるだろうか。ややこしいのでここではAmazonベースの「星〇」という表現で書かせてもらうことにする。
星１の口コミについて
これはつまり「どんな商品にも不良品はあるよ」という事実を物語っているだけに過ぎない。
実際にどんな大手メーカーの商品でも必ずといっていいほど星１の口コミがあり、覗いてみると「パーツが破損していた」「取り付けにミスがあった」「一日で壊れた」など、商品そのものの瑕疵ではなく、いわゆる「エラー商品」の報告が主になっている。
もちろんあまりにも多ければ真のクソである可能性があるため話は別だが、先に書いた通り「星１～５までの意見が比較的バランスよく分布している場合」であるなら、まぁそんなこともあるだろうぐらいの気持ちでいればいい。
星５の口コミについて
星１については不良品のパターンが分かるだけでもまだ参考になるわけだが、こちらは全く何の参考にもならない。ハッキリ言ってゴミ。
商品によってはサクラらしき文章で埋め尽くされている場合もありそもそも論外なのだが、サクラでない人の口コミも星５であればスルーしておくべきだろう。ちょっと考えてみて欲しい。そのものについて何かしらの拘りを持っている人が、果たして容易に100点をつけるものだろうか。
先にも書いたが私は洗濯ということについてさほどの拘りもない。そして今回すぐに届いて普通に使えて非常に助かったので、付けるならば星５だろう。つまりはそういうことなのだ。多少脱水が甘くてもわたしは全然気にならないが、気になる人、つまり洗濯に拘りがある人なら必ず減点するはず。より参考になるのが拘る人の意見だとするなら、やはり星５の口コミは参考にすべきではないということになる。
しつこいようだがこれも、最も迷わされるシチュエーションであろう「星１～５までの意見が比較的バランスよく分布している場合」について書いていることをお忘れなく。真の良品であれば分布傾向は星５に傾いているハズだし、星５の口コミであっても信ぴょう性が高いだろうし、それならもう迷う必要はない。
星２～４の中から共通項を掴み取れ
というわけで、これが答えだ。
比較的参考になるであろう星２～４の口コミを眺めていると、雑多な意見の中からやがていくつかの共通点が見えてくる。汲み上げるべきはこの共通点のみであり、それ以外のアレコレは趣味趣向や環境などによって様々なので無視！というか参考程度に留めておくとよい。ちなみに今回わたしが購入したハイセンスの洗濯機では
- 動作音がうるさい（調節脚のアジャストで直る）
- とても静か
- 脱水が甘い
という３点が、共通点として色々な方の意見の中に散見された。
「うるさい」と「静か」は相反しているように見えるが、恐らくは「安定した状態に置かれていれば静かに動く」ということなのだろう。調節脚の存在を知らないか、もしくは床側に問題があるなどして、ちょっとでも不安定な状態になってしまうと動作音がうるさくなるというデリケートな代物のようだ。
「脱水が甘い」については、まぁそうなのだろうという判断。だが星１の口コミにあった「手で絞れるほど」というのはどうも…今の世の中そんな状態で商品が発売されるものだろうか？怒りの余り大袈裟な表現をしているような気がする。そもそもスルーしてよい星１の意見だということで、こちらは問題無かろう。
わが家の床がどんな塩梅なのかは置いてみないとわからないが、調節のしようはあるハズだという最終結論のもとにこの洗濯機を購入し、無事、問題なく使用することができた。オツカレサン！
いかがだったろうか。
そんなこと知ってるよ！という方が大半だろうと思うが、晩酌の徒然だということでお許しいただきたい。一応書いておくと、わたしはAmazonでの買い物を同じようなセオリーで何回も行っているが、今のところハズレを引いたことはない。今のところはね。
迷った時には思い出していただければ幸いだ。それでは。
