親が気づかないうちにも子どもはどんどん成長していくもので、味覚もその一つだろう。
単純に「甘い物」「しょっぱい物」が大好物であったわが家の児童たちも、気がつけば複雑な旨さがわかるようになってきた。わたしの作る料理の、味の感想を聞くにつけそう思う。
辛みに対する耐性も同様だ。
始めはオール甘口から、徐々に中辛のルーを混ぜ混んでゆくという過程を経て、今では100%中辛でも美味しく食べてくれるようになった。わたしの作るしっかり辛い本格麻婆豆腐だって「辛い辛い!」と文句を言いながらもペロリとイケてしまう。辛みの楽しみ方がわかってきたこと自体も嬉しいが、単純に作る方の手間としてもね。思い通りに作れるようになってめっちゃ楽になったよね。
そういえば、子どもが生まれる前は変に料理にこだわっちゃって、粉から吟味したようなカレーを作っていたよなぁ…なんて思い返してみると、もう10年以上も前のことになるから驚きだ。家族みんなの食事を作るようになって以来久しく封印してはいたものの、もう子どもたちだって普通に食べられるはず。
というわけで今回は、タモさんが考案したスパイシーな本格カレー、その名も「タモリカレー」を作ってみようと思う。
タモさんこだわりの「タモリカレー」を俺流で作ってみる
材料(4人分)
- 鶏もも肉…580g
- 玉ねぎ…1玉
- ニンニク…大1片
- ショウガ…ニンニクと同じぐらい
- カレー粉…大さじ1杯半
- ターメリック…小さじ2
- クミン…小さじ2
- お湯…1リットル
- チャツネ…大さじ1/2
- 赤ワイン…75cc
- トマトペースト…1袋(大さじ1)
- 牛乳…1/4カップ
- ヨーグルト…大さじ1強
- しょう油…3まわし程度
- 砂糖…ひとつまみ
- とろけるチーズ…2枚
- 塩…小さじ1
- コンソメ顆粒…小さじ2
尚、レシピは以下のPDFを参考にさせていただいた。
参考レシピタモリカレー - ほぼ日刊イトイ新聞
上記PDFと私のレシピにおける差異がいわゆる「俺流」の箇所になるわけだが、そのほとんどは子ども向けに工夫したポイントと、ありものの材料で間に合わせた部分である。参考までに。
ベースはカレー粉なので、別途スパイスをあれこれ用意しなくてもいいというのがお手軽な点ではある。そして逆に物足りない部分でもあるのだが…まぁリハビリ的な感じで軽く作ってみようかな。タモさんのおススメは「インデラカレー」という粉だそうだがそこはそれ、常備していているS&Bの赤缶で代用させてもらった。すまんタモさん!
材料の下ごしらえ
まずは鶏もも肉から。
「お好みで皮を取って」とのことだったので子どもたちのお好みに従い皮は取り(鶏皮揚げとしてわたしのおつまみとなった)、一口大に切り分け、カレー粉を分量のうち大さじ1/2と、ターメリックとクミンがそれぞれ分量のうち小さじ1杯分をよく揉みこんでおく。
カレー粉の量が元PDFより少ないのはその量でも十分モモ肉全体にいきわたったことと、それでも少しだけ辛みを抑えてやりたいという狙いからだ。
そして、鶏肉とスパイスをしばらく馴染ませておく間に飴色玉ねぎを作っておこう。
飴色玉ねぎはみじん切りにして作ることが多いかと思うが、どうせ煮込んでいるうちに無くなるのでスライスで十分だ。実際炒めてみるとわかるが、みじん切りに比べて形状的にも圧倒的に炒めやすい。
フライパンにくっ付いた旨味を絡めとってやるという意味で、乾いてきたら適宜お水を加えてやるといいだろう。一方で「炒める」という水分を飛ばす作業をしている矛盾が生じるわけだが、結果的にはバランス良く仕上がるのでぜひ一度お試しあれ。
調理開始!
まず、スパイスの絡んだ鶏もも肉をフライパンで炒めていく。最後には繊維が解けるほど煮込むものをこの段階で敢えて炒めるわけで、恐らくは「香ばしく焼き目を付けよ」という意味だと汲み取った。
中まで火を通す必要は無いので、お好みの焼き目がついたら別途沸かしておいた1リットルのお湯の中へ。そのまま中火で煮込んでいく。
同じ鍋にチャツネ大さじ1/2、赤ワイン75cc、トマトペースト1袋(大さじ1)を加えて。
ちなみにほとんどは常備している調味料と材料で事足りたのだが、いくつか買い足したモノの中でも未経験だったのがこのチャツネだ。
本来のレシピに記載のある「マンゴーチャツネ」は、どうも使いにくそうな分量でのパッケージングでしか販売されていなかっため、今回はただの「チャツネ」を選んでみた。
材料を見るとマンゴーの他にもリンゴやパパイヤ、水あめ、ハチミツなどが使用されており、ひと舐めしてみると単純な甘さではなく、それら材料の「コク」が抽出されているような味わい。なるほどカレーをワンランク高めてくれそうな調味料である。
トマトペーストはもちろんホールトマトの代わりということで。常備品から登場していただいた。
1袋大さじ1杯分で6倍に濃縮されてるんだから、大体そんなもんっしょ。知らんけど。
カレーペーストを作る
お次はカレーペースト作りだ。
作ってあった飴色玉ねぎを再び火にかけ、すり下ろしたニンニクとショウガを加えて混ぜ合わせながら炒めていく。香りが立ってきたら、分量の残りのカレー粉大さじ1杯と、同じく残りのターメリックとクミンそれぞれ小さじ一杯を加える。
じっくりと火を入れて十分にスパイスの香りを引き出したら、牛乳とヨーグルトを加えてよく混ぜ合わせて、カレーペーストの出来上がり。
この段階ではカレーペーストの他、しょう油をひと回しと砂糖・塩をひとつまみづつ、最後にとろけるチーズを2枚ちぎって加えた。
この辺の調味料は最後にいくらでも追加できるので、まずは控えめに効かせていくのが失敗しないコツだ。入れすぎたものを薄めるのは非常に骨の折れる作業だが、足りないものを追加するのは簡単なことである。
煮込み⇒最終調整
ここから中火のまま1時間半~2時間ほど煮込んでいこう。
始めはシャバシャバとしているので放っておいても大丈夫だが、1時間を過ぎた頃から徐々に粘度が出てくるので適宜混ぜてやる必要が出てくる。そうこうしているうちに、わたしの場合は1時間半を経過した頃合でおおよそいい感じになってきた。
あらかじめ下調べしてあったタモリカレーの完成画像の通り、もも肉の繊維がほつれて何とも魅力的な姿になった。さて、ここで軽く味見してみると…ふむ。これはビビッとキタぞ。これ完全に
大人向けのカレーだ。
まぁ材料からなんとな~くわかってたんだけどね。
いや、美味しいのよ、すっごく!鶏肉、チャツネなど様々な材料が醸し出す上品な旨味とスパイスのハーモニーが非常に大人な感じで…なんというか、流石タモさん!って思った。しかし、わたしにはビジョンが見えるのだ…子どもたちの不服そうな顔が…。聞こえるのだ…「なんか変な味」「いつものカレーの方がいい」という辛辣な評価が…。
ならばもう、入れるしかない。
信頼と実績のツルヤ製、コンソメ顆粒だ!
先ほど味見した感じから言うと、これを入れたらもうそれは「タモリカレー」とは呼べなくなるであろうことは十分わかっている…!しかし…いつもより頑張って作ったこだわり料理を出して、子どもたちから塩反応を喰らった時のあのショックに比べれば…。わかるよね、世のお母さん方!タモさんスマン(再)!…と、いうわけで小さじ2杯を投入して(そそくさ)。
ちなみにこの料理、味の決め手としてしょう油がとても重要だと感じた。最後にしょう油をふた回しと塩で最終的な味を決めたが、しょう油を加えていくことでどんどん味の輪郭が鮮明になっていく。もちろん入れすぎは禁物なので、少しずつ味を見ながら加えていくといいだろう。
俺流タモリカレー完成!バランスの取れた本格カレーに仕上がった
夕方前に完成、味を馴染ませるためしばらく置いておいたカレーを夕食前に軽く煮込み直し、別途作ってあったカレー風味のマッシュポテトと一緒に盛り付けた。
このマッシュポテトとご飯、そしてカレーを混ぜ合わせていただくとのことだが…これは確かに旨い!
コンソメがよもや雑味になってしまわないかとの心配をよそに、しっかりと底上げされた旨味の上にちゃんとスパイス感も残っており、とても食べやすいカレーに大変身していた。子どもたちの評判も上々!あぁ良かった。
前述の通り複雑に絡み合った旨味全体を、芳醇なスパイスの香りが包み込んでいる。鶏肉はホロホロになってはいてもしっかりとその存在を主張しており、さらにマッシュポテトが食べ応えをブースト、非常にバランスの取れた本格カレーだと言えるだろう。しかし…この味ってどこかで食べたことがあるような気がするのだが…。なんとなく腑に落ちないものを感じながら食べていると、息子がこう言った。
「超美味しいけど、なんかいつものカレーに似てるよね!」
いつものカレー俺のポークカレー【ゴールデンカレーをアレンジ】
「今日のカレーはいつものと違うからガッカリしないように」とのわたしの逃げ口上を踏まえての言葉だったろうとは思うが、なるほど…確かに似ている。わたしもそう思う。妻も頷いている。ラドンもそうだそうだと言っています。
なんか…こんなに頑張って作ったのに釈然としない思いはあるが…。あれか、やっぱりコンソメを入れちまったからだろうな。まぁ…ね。ある意味、やっぱりルーってちゃんと考えられた凄い食材なんだな、と。今回はそんな結論でいかがだろうか。
最後は「…」多めの残念テイストな文章でお送りしたが、旨いか旨くないかで言ったら完全に前者なわけで、気が向いたらぜひお試しいただきたい。もちろんコンソメを入れない大人バージョンもね!
それでは。