
いやぁ…3月特集の冒頭であんな風に書いてはみたものの、さすがにこの数日は暑すぎる。
あんな風に書いた記事【ふきのとう】春の食材で一杯やろうじゃないか【タラの芽】
しかも明日は夏日になるらしい。ちょっと待ってくれ早過ぎだから。
さて。
上の記事を書いてからおよそ一週間後、ついにツルヤの店頭に並んだ花わさび。こいつの醤油漬けを仕込んでいるといよいよ春本番を感じるわけだが、もう何年も作っているのに未だ記事にしていなかったことに気づいてしまった。なら、一応書いておこうかしらね。
お手軽で美味しい「花わさびの醤油漬け」
地域にもよるだろうが早ければ2月の終わり頃から、遅くて5月になるぐらいまで、わさびの葉や花芽の部分がいわゆる「花わさび」としてスーパーに出回る。

まな板の端、黒いところは殺菌のため焼いた部分であって決して黒カビじゃないんだぜ!一応ね。
で。この花わさび、わさびと言えばな辛みはもちろん、春のほろ苦さやシャキッとした歯ごたえも楽しめる実に優秀な食材なのだ。今回ご紹介する「醤油漬け」なら、こういった花わさびの特徴をあますことなく楽しむことができる。
湯がいて漬けるだけ!ポイントは「熱すぎないお湯でサッと」
まずは花わさびを3、4cmに切り揃えて。その間にお湯を沸かしておくといいかも。


もちろんこのお湯で花わさびを茹でるわけだが、見出しの通り「熱すぎないお湯でサッと」茹でるのが美味しく仕上げるポイントだ。

ネットの情報によると80℃が適温とのことだが、そんなに厳密じゃなくても大丈夫。なんなら冷め過ぎちゃったかな?と感じるぐらいが実はちょうどいいんじゃないかな~と思うんだ、個人的には。
要するに高い温度でしっかり茹でると辛みが飛んじゃうってこと。あと悪い意味での苦みというか、アクみたいなものも強くなってしまうような気がする。
なのでゆで時間もごく短く。



この間約10秒ぐらいで済ませてしまうといいだろう。それで十分に火は入っているのでご心配なく。
間髪入れず熱いうちに塩を強めの一つまみ程度ふりかけて、軽くもみこむようなイメージで和える。
組織を壊して辛みを出してやる作業だ。辛みは時間とともに飛んで行くので熱いうちから行うというわけ。まぁこれもそんなに気にしなくてもいいと思うけどね…だってこの後さぁ。

「熱いうちに塩を揉みこんだらそのまま密閉容器に入れておよそ三時間待ち、さらに辛みを引き出していく」というのがセオリー。だがわたしはここで逆に粗熱をとりつつ水分を飛ばしてしまい、よきところで醤油に漬け込んでしまう。なぜなら水っぽくなるのが嫌なので。

辛みは時間の経過とともに抜けていくので、長い期間楽しもうと思えばこうした処理の差が出てくるのだろう。だが我が家では必ず数日で消費してしまうため、これでも十分辛さを味わえる。逆に2、3日経って、辛みが抜けた花わさびもそれはそれで違った旨さがあるものだ。
漬けダレには酒、みりんなどを加えてもいいし、だし汁も試したことがある。が、結局は醤油だけで漬けるのが一番わたし好みの味になることがわかってからは、毎回こうしている。皆様も色々お試しあれ。
しゃっきりした歯ごたえの中にキラリと光る辛み・苦みが心地良い
この日は朝一で上記の作業を済ませた。そしてお昼時まで漬け込んだものがこちら。

このぐらいの漬かり具合が一番好きだ。歯触りはまだ若くしゃっきりと。辛みや苦みも鮮烈でわかりやすい。
このあと漬け込めば漬け込むほど味はこなれて混ざり合い、いわゆる「漬物」的な方向に熟成されていく。もちろんそれはそれで旨い。

お酒のアテはもちろんのこと、こいつがあったかいご飯と本当に良く合うんだよ。ペロリといけちゃいますぜ。
花わさびに限らず、時期の物を時期に味わうということはそれだけで贅沢だ。簡単に作れるので、お店で見つけたらぜひ入手して作ってみて欲しい。
それでは。
